sar コマンドは以前に保存したファイルからデータを抽出して、 レコードを標準出力に書き出す。 このファイルは、-f フラグで指定することができる。 デフォルトでは、標準システム活性度日次データファイルが使われる。 sar の引数として、何日か前のデータを表示するために、-1, -2 などを指定することもできる。 例えば、-1 は昨日の標準システム活性度日次データファイルを指している。
標準システム活性度日次データファイルは、 saDD または saYYYYMMDD という名前である。 ここで、YYYY は現在の年、MM は月、DD は日である。 これらは、ファイル名が明示的に指定されない場合に、 sar がデフォルトで使うファイルである。 (オプション -o で) データをファイルに書き出す場合、 オプション -D も指定されていると、 sar は saYYYYMMDD を使う。 オプション -D が指定されていない場合、 saDD を使う。 以前にファイルに保存されたレコードを表示する場合、 sar は saDD と saYYYYMMDD のうち最も最近のファイルを探して使う。
標準システム活性度日次データファイルは、デフォルトでは /var/log/sa ディレクトリにある。 ファイルの場所は別のディレクトリを指定することもできる。 (プレーンファイルではなく) ディレクトリが オプション -f または -o に指定されると、 データファイルを保持するディレクトリとして扱われる。
-P フラグが指定されない場合、 sar コマンドはシステム全体 (すべてのプロセッサのグローバル) の統計を表示する。 この統計は、割合で表される平均値と、合計値が計算される。 -P フラグが指定された場合、 sar コマンドは指定されたプロセッサ (群) の活性度を表示する。 -P ALL が指定された場合、 sar コマンドは、各プロセッサの統計と すべてのプロセッサのグローバル統計を表示する。 オフラインになってるプロセッサは表示されない。
フラグを使って特定のシステム活性度の情報を選択することができる。 フラグを指定しない場合、CPU 活性度のみを選択する。 -A フラグを指定すると全ての活性度が選択される。
sar コマンドのデフォルトバージョン (CPU 利用率レポート) は、 システム活性度の調査でユーザが最初に使う機能の 1 つになっている。 なぜなら、CPU 利用率はメジャーなシステムリソースであるためである。 CPU 利用率 (user + nice + system) が 100% に近い場合、 サンプリングした負荷は CPU バウンドである。
複数のサンプルで、複数のレポートが必要な場合、 sar コマンドの出力ファイルを使うのが便利である。 sar コマンドをバックグラウンドで実行する場合、書式は以下のとおりである。
sar -o datafile interval count >/dev/null 2>&1 &
すべてのデータがバイナリ形式でキャプチャされ、(datafile) ファイルに保存される。 データは sar コマンドで -f オプションを指定して、選択して表示できる。 interval と count パラメータを設定すると、 count レコード数を interval 秒間隔で選択する。 count パラメータが設定されない場合、 ファイルに保存されたすべてのレコードが選択される。 この方法で収集したデータは、指定した期間のシステム利用状況の特徴を見たり、 利用時間のピークを決定したりするのに役立つ。
注意:
sar
コマンドはローカルの活性度のみをレポートする。
pgpgin/s
pgpgout/s
fault/s
majflt/s
pgfree/s
pgscank/s
pgscand/s
pgsteal/s
%vmeff
tps
rtps
wtps
dtps
bread/s
bwrtn/s
bdscd/s
tps
rkB/s
wkB/s
dkB/s
areq-sz
aqu-sz
await
%util
以下の値が表示される。
MBfsfree
MBfsused
%fsused
%ufsused
Ifree
Iused
%Iused
filename がプレーンファイルではなく、ディレクトリの場合、 標準システム活性度日次データファイルが置かれたディレクトリと解釈される。 -f オプションと -o オプションは同時に指定することはできない。
kbhugfree
kbhugused
%hugused
kbhugrsvd
kbhugsurp
指定可能なキーワードは以下のとおり。 CPU, FAN, FREQ, IN, TEMP, USB.
CPU キーワードを指定すると、CPU についての統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
MHz
FAN キーワードを指定すると、ファンのスピードの統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
rpm
drpm
DEVICE
FREQ キーワードを指定すると、CPU クロック周波数の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
wghMHz
IN キーワードを指定すると、電圧入力の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
inV
%in
DEVICE
TEMP キーワードを指定すると、デバイスの温度の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
degC
%temp
DEVICE
USB キーワードを指定すると、 sar コマンドは現在システムにつながれてるすべての USB デバイスのスナップショットを取る。 レポートの最後に、 sar はすべての USB デバイスのサマリーを表示する。 以下の値が表示される。
BUS
idvendor
idprod
maxpower
manufact
product
ALL キーワードは、上記のすべてのキーワードを指定したのと同じであり、 すべてのパワーマネージメント統計が表示される。
指定可能なキーワードは以下のとおり。 DEV, EDEV, FC, ICMP, EICMP, ICMP6, EICMP6, IP, EIP, IP6, EIP6, NFS, NFSD, SOCK, SOCK6, SOFT, TCP, ETCP, UDP, UDP6.
DEV キーワードを指定すると、ネットワークデバイスの統計をレポートする。 オプション --iface= を使ってリストを制限しない限り、すべてのネットワークインタフェースの 統計が表示される (対応するオプションを参照)。 以下の値が表示される。
IFACE
rxpck/s
txpck/s
rxkB/s
txkB/s
rxcmp/s
txcmp/s
rxmcst/s
%ifutil
EDEV キーワードを指定すると、ネットワークデバイスの失敗 (エラー) の統計をレポートする。 オプション --iface= を使ってリストを制限しない限り、すべてのネットワークインタフェースの 統計が表示される (対応するオプションを参照)。 以下の値が表示される。
IFACE
rxerr/s
txerr/s
coll/s
rxdrop/s
txdrop/s
txcarr/s
rxfram/s
rxfifo/s
txfifo/s
FC キーワードを指定すると、ファイバーチャネルの トラフィックの統計をレポートする。 ファイバーチャネルの統計は、 sadc のオプション "-S DISK" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される。
FCHOST
fch_rxf/s
fch_txf/s
fch_rxw/s
fch_txw/s
ICMP キーワードを指定すると、ICMPv4 ネットワークトラフィックの統計をレポートする。 ICMPv4 の統計は sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
imsg/s
omsg/s
iech/s
iechr/s
oech/s
oechr/s
itm/s
itmr/s
otm/s
otmr/s
iadrmk/s
iadrmkr/s
oadrmk/s
oadrmkr/s
EICMP キーワードを指定すると、ICMPv4 エラー通知の統計がレポートされる。 ICMPv4 の統計は sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
ierr/s
oerr/s
idstunr/s
odstunr/s
itmex/s
otmex/s
iparmpb/s
oparmpb/s
isrcq/s
osrcq/s
iredir/s
oredir/s
ICMP6 キーワードを指定すると、ICMPv6 ネットワークトラフィックの統計がレポートされる。 ICMPv6 の統計は、 sadc オプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
imsg6/s
omsg6/s
iech6/s
iechr6/s
oechr6/s
igmbq6/s
igmbr6/s
ogmbr6/s
igmbrd6/s
ogmbrd6/s
irtsol6/s
ortsol6/s
irtad6/s
inbsol6/s
onbsol6/s
inbad6/s
onbad6/s
EICMP6 キーワードを指定すると、ICMPv6 エラーメッセージの統計をレポートする。 ICMPv6 の統計は、 sadc オプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
ierr6/s
idtunr6/s
odtunr6/s
itmex6/s
otmex6/s
iprmpb6/s
oprmpb6/s
iredir6/s
oredir6/s
ipck2b6/s
opck2b6/s
IP キーワードを指定すると、IPv4 ネットワークトラフィックの統計がレポートされる。 IPv4 の統計は、 sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
irec/s
fwddgm/s
idel/s
orq/s
asmrq/s
asmok/s
fragok/s
fragcrt/s
EIP キーワードを指定すると、IPv4 ネットワークエラーの統計がレポートされる。 IPv4 の統計は、 sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
ihdrerr/s
iadrerr/s
iukwnpr/s
idisc/s
odisc/s
onort/s
asmf/s
fragf/s
IP6 キーワードを指定すると、IPv6 ネットワークトラフィックの統計がレポートされる。 IPv6 の統計は、 sadc のオプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
irec6/s
fwddgm6/s
idel6/s
orq6/s
asmrq6/s
asmok6/s
imcpck6/s
omcpck6/s
fragok6/s
fragcr6/s
EIP6 キーワードを指定すると、IPv6 ネットワークエラーの統計がレポートされる。 IPv6 の統計は、 sadc のオプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
ihdrer6/s
iadrer6/s
iukwnp6/s
i2big6/s
idisc6/s
odisc6/s
inort6/s
onort6/s
asmf6/s
fragf6/s
itrpck6/s
NFS キーワードを指定すると、NFS クライアントの活性度の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
call/s
retrans/s
read/s
write/s
access/s
getatt/s
NFSD キーワードを指定すると、NFS サーバーの活性度の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
scall/s
badcall/s
packet/s
udp/s
tcp/s
hit/s
miss/s
sread/s
swrite/s
saccess/s
sgetatt/s
SOCK キーワードを指定すると、使用中のソケットの統計がレポートされる (IPv4)。 以下の値が表示される。
totsck
tcpsck
udpsck
rawsck
ip-frag
tcp-tw
SOCK6 キーワードを指定すると、使用中のソケットの統計がレポートされる (IPv6)。 IPv6 の統計は、 sadc のオプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される。
tcp6sck
udp6sck
raw6sck
ip6-frag
SOFT キーワードを指定すると、ソフトウェアベースの ネットワーク処理の統計がレポートされる。 以下の値が表示される。
total/s
dropd/s
squeezd/s
rx_rps/s
flw_lim/s
TCP キーワードを指定すると、TCPv4 ネットワークトラフィックの統計をレポートする。 TCPv4 の統計は sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
active/s
passive/s
iseg/s
oseg/s
ETCP キーワードを指定すると、TCPv4 ネットワークエラーの統計がレポートされる。 TCPv4 の統計は sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
atmptf/s
estres/s
retrans/s
isegerr/s
orsts/s
UDP キーワードを指定すると、UDPv4 ネットワークトラフィックの統計がレポートされる。 UDPv4 の統計は sadc のオプション "-S SNMP" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
idgm/s
odgm/s
noport/s
idgmerr/s
UDP6 キーワードを指定すると、UDPv6 ネットワークトラフィックの統計がレポートされる。 UDPv6 の統計は sadc のオプション "-S IPV6" に依存して収集される点に注意すること。 以下の値が表示される (正式な SNMP 名を角括弧内に記載する)。
idgm6/s
odgm6/s
noport6/s
idgmer6/s
ALL キーワードは、上記の全てのキーワードを指定したのと同じであり、 全てのネットワーク活性度がレポートされる。
runq-sz
plist-sz
ldavg-1
ldavg-5
ldavg-15
blocked
kbmemfree
kbavail
kbmemused
%memused
kbbuffers
kbcached
kbcommit
%commit
kbactive
kbinact
kbdirty
kbanonpg
kbslab
kbkstack
kbpgtbl
kbvmused
kbswpfree
kbswpused
%swpused
kbswpcad
%swpcad
%user
%usr
%nice
%system
%sys
%iowait
%steal
%irq
%soft
%guest
%gnice
%idle
dentunusd
file-nr
inode-nr
pty-nr
pswpin/s
pswpout/s
proc/s
cswch/s
rcvin/s
xmtin/s
framerr/s
prtyerr/s
brk/s
ovrun/s
値を表示する色 (赤、黄、またはその他の色) は、色によって何かの意味を示している訳ではない。 色は値の範囲を示しているだけである。
sar -I 14 -o int14.file 2 10
sar -r -n DEV -f /var/log/sa/sa16
sar -A
使用しているカーネルによっては、すべての統計が利用可能な訳ではない。 sar は少なくとも 2.6 カーネルを使っていることを仮定している。
https://github.com/sysstat/sysstat
http://pagesperso-orange.fr/sebastien.godard/