SADF

Section: Linux User's Manual (1)
Updated: NOVEMBER 2019
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名前

sadf - sar が収集したデータをいろいろなフォーマットで表示する。  

書式

sadf [ -C ] [ -c | -d | -g | -j | -l | -p | -r | -x ] [ -H ] [ -h ] [ -T | -t | -U ] [ -V ] [ -O opts [,...] ] [ -P { cpu_list | ALL } ] [ -s [ hh:mm[:ss] ] ] [ -e [ hh:mm[:ss] ] ] [ --dev= dev_list ] [ --fs= fs_list ] [ --iface= iface_list ] [ -- sar_options ] [ interval [ count ] ] [ datafile | -[0-9]+ ]  

説明

sadf コマンドは sar(1) コマンドで生成されたデータファイルの内容を表示するのに使われる。 sar とは異なり、 sadf は多くのフォーマット (CSV, XML など) で書き出すことができる。 デフォルトのフォーマットは、 awk などのパターン処理コマンドで扱いやすいものである (オプション -p を参照)。 sadf コマンドは sar で収集した様々な活性度のグラフを描くのに使える。 SVG (Scalable Vector Graphics) でグラフを描いて、 ウェブブラウザで表示できる (オプション -g を参照)。

sadf コマンドは datafile ファイルに保存されたレコードを抽出して、標準出力に書き出す。 このファイルは sadf と互換のある sar のバージョンで作成されている必要がある。 datafile を省略すると、 sadf は、標準システム活性度日次データファイル (standard system activity daily data file) を使う。 sadf の引数として、-1、-2 などを指定して、 指定した日付だけ前のデータを表示できる。 例えば、-1 は昨日の標準システム活性度日次データファイルを指している。

標準システム活性度日次データファイルは、 saDD または saYYYYMMDD という名前である。 ここで、YYYY は現在の年、MM は月、DD は日である。 sadf は直近の saDDsaYYYYMMDD を探して使う。 デフォルトではこのファイルは、 /var/log/sa ディレクトリにある。 しかし、別の場所を指定することも可能である。 datafile が (プレーンファイルではなく) ディレクトリの場合、 標準システム活性度日次データファイルが置かれた ディレクトリとして解釈される。

intervalcount パラメータは、 sadfcount 回のレコードを interval 秒ごとに選択するのに指定される。 count パラメータが指定されない場合、 データファイルに保存された全てのレコードが表示される。

どの活性度をレポートするかについて、 すべての sar の活性度フラグがコマンドラインから指定可能である。 このフラグを指定する前に、 sadf のフラグと混在させないように、2 つのダッシュ (--) を置くこと。 フラグを指定しない場合、CPU 活性度のみが選択される。

 

オプション

-C
sadf にファイルに存在するコメントを表示させる。
-c
古いシステム活性度バイナリデータファイル (9.1.6 以前) を 現在のフォーマットに変換する。 以下の書式を使うこと。

sadf -c old_datafile > new_datafile

-d
データファイルの内容をリレーショナルデータベースシステムで 取り込みやすいフォーマットで表示する。 出力はセミコロンで区切られたフィールドで構成される。 各レコードは以下から構成される。 ファイルが作成されたホストのホスト名、 時間間隔 (取得できない場合は -1)、 多くのデータベースで受け入れられやすいタイムスタンプ、 sar_options コマンドラインオプションで指定されたカンマ区切りのデータフィールド。 タイムスタンプの出力は、オプション -T, -t, -U で制御できる。
--dev=dev_list
sadf で統計を表示するブロックデバイスを指定する。 dev_list はカンマ区切りのデバイス名のリストである。 これは sar のオプション -d を使うのに役立つ。
-e [ hh:mm[:ss] ]
レポートの終了時間を指定する。 デフォルトの終了時間は 18:00:00 である。 時は 24 時間制で指定しなければならない。
--fs=fs_list
sadf で統計を表示するファイルシステムを指定する。 fs_list はカンマ区切りのデバイス名のリストである。 これは sar のオプション -F を使うのに役立つ。
-g
データファイルの内容を SVG (Scalable Vector Graphics) 形式で表示する。 このオプションを使うと、ウェブブラウザで綺麗なグラフを表示できる。 以下の書式を使うこと。

sadf -g your_datafile [ -- sar_options ] > output.svg

結果の SVG ファイルを好きなウェブブラウザで開けばよい。 出力はオプション -O (下記を参照) で制御できる。

-H
(利用可能であれば) レポートのヘッダのみを表示する。 フォーマットが指定されない場合、データファイルのヘッダデータ (メタデータ) が表示される。
-h
オプション -d と一緒に指定すると、 すべての活性度が横一列に表示される。
--iface=iface_list
sadf で統計を表示するネットワークインタフェースを指定する。 iface_list はカンマ区切りのデバイス名のリストである。 これは sar のオプション -n DEV と -n EDEV を使うのに役立つ。
-j
データファイルの内容を JSON (JavaScript Object Notation) で表示する。 タイムスタンプはオプション -T と -t で制御できる。
-l
データファイルの内容を PCP (Performance Co-Pilot) アーカイブに書き出す。 アーカイブの名前は、オプション -O とキーワード pcparchive= を使って指定できる。
-O opts [,...]
指定したオプションで、 sadf の出力を制御する。 以下のオプションは sadf -g で表示される SVG 出力を制御するために使われる。

autoscale

現在のビューのスケールに基づいて、可能な限り大きなビューでグラフを描く。 そのため、倍率 (10, 100, 1000...) がグラフを拡大するために使われる。 このオプションは複数のグラフを同じビューで描く際に重要である。 小さい値のグラフと、大きな値のグラフがある場合、 後者に合わせると前者がとても分かりづらくなる。

bwcol

グラフの描画に黒と白のパレットを使う。

customcol

グラフの描画にデフォルトのカラーパレットではなく、 カスタマイズ可能なカラーパレットを使う。 パレットのカスタマイズ方法を知りたい場合、下記の環境変数 S_COLORS_PALETTE を参照すること。

height=value

SVG キャンバスの高さを value にする。

oneday

グラフデータを 24 時間の期間で表示する。 時刻はデフォルトでは UTC で表示される点に注意すること。 時刻をローカル時間で表示し、時間の始まりを午前 0 時にするためには、 オプション -T を使うこと。

packed

同じ行に同じ活性度 (と同じデバイス) を描くように、すべてのビューをグループ化する。

showidle

CPU 統計のグラフに %idle 状態も表示する。

showinfo

各ビューに付加情報 (日付とホスト名) を表示する。

showtoc

SVG 出力の先頭に目次を追加する。 目次は各活性度の最初のグラフを指す。

skipempty

0 値しかないすべてのグラフを表示しない。

以下のオプションは、データを PCP アーカイブに書き出す際に使用できる:

pcparchive=name

作成する PCP アーカイブの名前を指定する。

以下のオプションは、 sadf -r による生 (raw) データの出力を制御する。

debug

主にデバッグ目的で役立つ、付加情報を表示する。
-P { cpu_list | ALL }
特定のプロセッサ (群) を指定することで、 sadf にプロセッサ依存の統計をレポートさせる。 cpu_list はカンマ区切りの値または、値の範囲である (例 0,2,4-7,12-)。 プロセッサ 0 が最初のプロセッサで、プロセッサ all はすべてのプロセッサの平均である点に注意すること。 ALL キーワードを指定すると、すべてのノードの統計をレポートする。
-p
awk などのパターン処理コマンドで扱いやすいフォーマットで、 データファイルの内容を表示する。 出力はタブ区切りのフィールドで構成される。 各レコードには、以下が含まれる。 ファイルが作成されたホストのホスト名、時間間隔 (利用できない場合は -1)、 タイムスタンプ、デバイス名 (利用できない場合は -1)、 フィールド名と値。 タイムスタンプの出力は、オプション -T, -t, -U で制御できる。
-r
データファイルの生の内容を表示する。 このフォーマットでは、すべてのカウンターはカーネルから 読み込んだままの値が表示される。 例えば、経過時間に対する平均値は計算されないことを意味する。
-s [ hh:mm[:ss] ]
データの開始時刻を設定する。 sadf は指定された時刻以降のレコードの抽出する。 デフォルトの開始時刻は、08:00:00 である。 時は 24 時間制で指定しなければならない。
-T
タイムスタンプを UTC (Coordinated Universal Time) ではなく ローカル時間で表示する。
-t
タイムスタンプを UTC (Coordinated Universal Time) ではなく ファイル作成者の元のローカル時間で表示する。
-U
タイムスタンプ (UTC - Coordinated Universal Time) を 紀元 (epoch) からの秒数で表示する。
-V
バージョン番号を表示して、終了する。
-x
データファイルの内容を XML フォーマットで表示する。 タイムスタンプはオプション -T と -t で制御できる。 対応する DTD (Document Type Definition) と XML スキーマは、sysstat ソースコードパッケージに含まれる。 これは以下から入手できる。 http://pagesperso-orange.fr/sebastien.godard/download.html

 

環境変数

sadf コマンドは下記の環境変数を利用する。

S_COLORS_PALETTE
sadf -g で SVG 出力を描画する際に使う色を指定する。 この環境変数は、オプション customcol (オプション -O を参照) でカスタムカラーパレットが選択された場合にのみ、利用される。 この値はコロン区切りの機能のリストであり、 各機能は、6 桁で 3 バイトの 16 進数 (16 進数の 3 個組) と紐付けられる。 デフォルトは以下の通りである。

0=000000:1=1a1aff:2=1affb2:3=b21aff:4=1ab2ff:5=ff1a1a:6=ffb31a:7=b2ff1a:
8=efefef:9=000000:A=1a1aff:B=1affb2:C=b21aff:D=1ab2ff:E=ff1a1a:F=ffb31a:
G=bebebe:H=000000:I=000000:K=ffffff:L=000000:T=000000:W=000000:X=000000

1 個の 16 進数 (0 から F) は、(グラフの描画に使われる) パレットの最初の 16 色を指定するのに使われる。 例えば、3=ffffff はパレットの 3 番目の色が白 (0xffffff) であることを表している。 他の機能は以下の通りである。

G=
グリッドの線を描画する色を指定する。

H=
レポートのヘッダを表示する色を指定する。

I=
付加情報 (例、日付、ホスト名...) を表示する色を指定する。

K=
グラフの背景に使う色を指定する。

L=
(例えば、表の内容の表示に使う) デフォルトの色を指定する。

T=
グラフのタイトルの表示に使う色を指定する。

W=
警告とエラーメッセージの表示に使う色を指定する。

X=
軸の描画と、グラデーションの表示に使う色を指定する。

S_TIME_DEF_TIME
この環境変数が存在し、その値が UTC の場合、 sadf/var/log/sa ディレクトリにある現在の日次データファイルの時間として、 ローカル時間ではなく UTC 時間を使う。
 

sadf -d /var/log/sa/sa21 -- -r -n DEV
メモリとネットワークの統計をシステム活性度ファイル 'sa21' から取得し、 データベースに取り込みやすいフォーマットで表示する。

sadf -p -P 1

プロセッサ 1 (2 番目のプロセッサ) の CPU 統計を 現在の日次データファイルから取得し、 パターン処理コマンドで扱いやすいフォーマットで表示する。

 

バグ

(オプション -g で作成される) SVG 出力は SVG 1.1 標準と完全互換である。 画像は Firefox, Chorme, Opera など様々なブラウザで表示に成功する。 しかし、SVG のレンダリングは Microsoft のブラウザ (Internet Explorer 11 と Edge 13.1 でテストした) ではうまくいかないので、 Microsoft のブラウザは使わないでほしい。

 

ファイル

/var/log/sa/saDD
/var/log/sa/saYYYYMMDD
標準システム活性度日次データファイルとデフォルトの場所。 ここで、YYYY は現在の年、MM は月、DD は日である。

 

著者

Sebastien Godard (sysstat <at> orange.fr)  

関連項目

sar(1), sadc(8), sa1(8), sa2(8), sysstat(5)

https://github.com/sysstat/sysstat

http://pagesperso-orange.fr/sebastien.godard/


 

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Time: 03:32:53 GMT, March 20, 2020