lnstat は古い rtstat プログラムを汎化して多くの特性を満たした代替である。 このプログラムは一般的に、カーネルによってエクスポートされた選択された 統計値を、定期的に表示するのに使われる。 ルーティングキャッシュの統計に加え、 Linux カーネルが /proc/net/stat/ 内のファイルにエクスポートした すべての種類の統計をサポートしている。
/proc/net/stat/ の各ファイルは、列名をリストするヘッダ行を含む。 この列名は lnstat によって表示される統計を選択するキーとして使われる。 ファイルの各行には、システムにあるすべての CPU について、 実際の値をリストする行が続いている。 lnstat は表示を行う前に、この値 (実際にはカウンター) を合計する。 各時間間隔の後には、最後の値からの差分のみが表示される。
ファイルと列は、-f と -k パラメータを使って選択できる。 デフォルトでは、すべてのファイルのすべての列が表示される。
entries 近傍テーブルのエントリー数。
allocs 近傍エントリーがいくつ確保されたか。
destroys 近傍エントリーがいくつ削除されたか。
hash_grows 近傍 (ハッシュ) テーブルが何回増加したか。
lookups 検索が何回行われたか。
hits lookups が何回成功したか。
res_failed 近傍の検索が何回失敗したか。
rcv_probes_mcast マルチキャスト近傍要請 (neighbor solicitations) を何回受信したか (IPv6 のみ)。
rcv_probes_ucast ユニキャスト近傍要請を何回受信したか (IPv6 のみ)。
periodic_gc_runs ガベージコレクション実行が何回行われたか。
forced_gc_runs 強制ガベージコレクション実行が何回行われたか。 エントリーを追加する際に、テーブルがいっぱいであると実行される。
unresolved_discards 検索の失敗により、近傍テーブルエントリーがいくつ破棄されたか。
table_fulls テーブルオーバーフローの回数。 テーブルがいっぱいで、かつ強制 GC 実行 (forced_gc_runs を参照) が 失敗した場合に起こる。
entries conntrack テーブルのエントリー数。
searched conntrack テーブルの検索が何回行われたか。
found searched エントリーが何回成功したか。
new conntrack エントリーが予測されないうちに何回追加されたか。
invalid 追跡できなかったパケットの数。
ignore conntrack エントリーに既に紐付けられたパケットの数。
delete 削除された conntrack エントリーの数。
delete_list 削除予定 (dying) リストに入れられた conntrack エントリーの数。
insert リストに入れられたエントリーの数。
insert_failed リストに入れようとして失敗したエントリーの数 (同じエントリーが既に存在する場合に起こる)。
drop conntrack の失敗により、ドロップされたパケット数。 新しい conntrack エントリーの確保に失敗したか、プロトコルヘルパーがパケットを ドロップした。
early_drop 最大テーブルサイズに達していて、新しい conntrack エントリーのための 場所を確保するためにドロップされた conntrack エントリーの数。
icmp_error エラー状況のために追跡できなかったパケット数。 これは invalid の一部である。
expect_new conntrack エントリーが予測された後で、何個追加されたか。
expect_create 追加された予測エントリーの数。
expect_delete 削除された予測エントリーの数。
search_restart ハッシュテーブルのリサイズで、リスタートしなければならなかった conntrack テーブル検索の回数。
entries ルーティングキャッシュ内のエントリー数。
in_hit 流入パケットに対するルートキャッシュのヒット数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
in_slow_tot 入力トラフィックに対して追加されたルーティングキャッシュ エントリーの数。
in_slow_mc 入力トラフィックに対して追加されたマルチキャストルーティング キャッシュエントリーの数。
in_no_route ルーティングテーブルエントリーが見つからなかった入力パケット数。
in_brd マッチした入力ブロードキャストパケットの数。
in_martian_dst 流入した異質な (martian) 宛先パケットの数。
in_martian_src 流入した異質な (martian) 送信元パケットの数。
out_hit 送出パケットに対するルートキャッシュのヒット数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
out_slow_tot 出力トラフィックに対して追加されたルーティングキャッシュ エントリー数。
out_slow_mc 出力トラフィックに対して追加されたマルチキャストルーティング キャッシュエントリーの数。
gc_total ガベージコレクション実行の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
gc_ignored 最小ガベージコレクション間隔に達しておらず、 ルーティングキャッシュがいっぱいでなかったため、 無視されたガベージコレクション実行の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
gc_goal_miss ガベージコレクションのゴールに達しなかった回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
gc_dst_overflow 宛先キャッシュのオーバーフローの回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
in_hlist_search 入力トラフィックに対するハッシュテーブルリストの巡回の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
out_hlist_search 出力トラフィックに対するハッシュテーブルリストの巡回の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。
このマニュアルは Michael Prokop <mika@grml.org> によって、 Debian プロジェクトのために書かれた (しかし、他のディストリビューションでも使えるだろう)。