LNSTAT

Section: Maintenance Commands (8)
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名前

lnstat - 統合された Linux ネットワーク統計  

書式

lnstat [options]  

説明

このマニュアルページは lnstat コマンドを短くドキュメント化している。

lnstat は古い rtstat プログラムを汎化して多くの特性を満たした代替である。 このプログラムは一般的に、カーネルによってエクスポートされた選択された 統計値を、定期的に表示するのに使われる。 ルーティングキャッシュの統計に加え、 Linux カーネルが /proc/net/stat/ 内のファイルにエクスポートした すべての種類の統計をサポートしている。

/proc/net/stat/ の各ファイルは、列名をリストするヘッダ行を含む。 この列名は lnstat によって表示される統計を選択するキーとして使われる。 ファイルの各行には、システムにあるすべての CPU について、 実際の値をリストする行が続いている。 lnstat は表示を行う前に、この値 (実際にはカウンター) を合計する。 各時間間隔の後には、最後の値からの差分のみが表示される。

ファイルと列は、-f-k パラメータを使って選択できる。 デフォルトでは、すべてのファイルのすべての列が表示される。  

オプション

lnstat は以下のオプションをサポートしている。
-h, --help
オプションのサマリーを表示する。
-V, --version
プログラムのバージョンを表示する。
-c, --count <count>
指定された時間間隔で <count> 回表示する。
-d, --dump
指定可能なファイルとキーのリストをダンプする。
-f, --file <file>
使用する統計ファイル。複数回指定できる。 デフォルトでは /proc/net/stat 内のすべてのファイルがスキャンされる。
-i, --interval <intv>
時間間隔を 'intv' 秒に設定する。
-j, --json
結果を JSON フォーマットで表示する。
-k, --keys k,k,k,...
指定したキーのみを表示する。 各キー k[file:]key の形式である。 <file> が指定された場合、指定されたキーはそのファイルからのみ検索される。 <file> が指定されない場合、検索キーが最初に見つかったファイルが使われる。
-s, --subject [0-2]
サブジェクトヘッダの表示を指定する。 '0' を指定すると、ヘッダを表示しない。 '1' を指定すると、プログラムの開始時にのみヘッダを表示する。 '2' を指定すると、20 行ごとにヘッダを表示する。
-w, --width n,n,n,...
各フィールドの幅を指定する。
 

使用例

# lnstat -d
サポートされる統計ファイルのリストを取得する。
# lnstat -k arp_cache:entries,rt_cache:in_hit,arp_cache:destroys
指定されたファイルとキーを選択する。
# lnstat -i 10
時間間隔 10 秒を使う。
# lnstat -f ip_conntrack
指定したファイルのみを使って統計を表示する。
# lnstat -s 0
ヘッダを全く表示しない。
# lnstat -s 20
ヘッダを開始時と 20 行ごとに表示する。
# lnstat -c -1 -i 1 -f rt_cache -k entries,in_hit,in_slow_tot
フィールド rt_cache のキー entries, in_hit, in_slow_tot の統計を毎秒表示する。

 

ファイル

/proc/net/stat/arp_cache, /proc/net/stat/ndisc_cache
近傍キャッシュ (neighbor cache) と ARP の統計。 IPv4 については arp_cache、IPv6 については ndisc_cache である。

entries 近傍テーブルのエントリー数。

allocs 近傍エントリーがいくつ確保されたか。

destroys 近傍エントリーがいくつ削除されたか。

hash_grows 近傍 (ハッシュ) テーブルが何回増加したか。

lookups 検索が何回行われたか。

hits lookups が何回成功したか。

res_failed 近傍の検索が何回失敗したか。

rcv_probes_mcast マルチキャスト近傍要請 (neighbor solicitations) を何回受信したか (IPv6 のみ)。

rcv_probes_ucast ユニキャスト近傍要請を何回受信したか (IPv6 のみ)。

periodic_gc_runs ガベージコレクション実行が何回行われたか。

forced_gc_runs 強制ガベージコレクション実行が何回行われたか。 エントリーを追加する際に、テーブルがいっぱいであると実行される。

unresolved_discards 検索の失敗により、近傍テーブルエントリーがいくつ破棄されたか。

table_fulls テーブルオーバーフローの回数。 テーブルがいっぱいで、かつ強制 GC 実行 (forced_gc_runs を参照) が 失敗した場合に起こる。

/proc/net/stat/ip_conntrack, /proc/net/stat/nf_conntrack
conntrack (コネクション追跡) に関連するカウンター。 ip_conntrack は古いユーザースペースの後方互換のためにあり、 nf_conntrack と同じデータを表示する。

entries conntrack テーブルのエントリー数。

searched conntrack テーブルの検索が何回行われたか。

found searched エントリーが何回成功したか。

new conntrack エントリーが予測されないうちに何回追加されたか。

invalid 追跡できなかったパケットの数。

ignore conntrack エントリーに既に紐付けられたパケットの数。

delete 削除された conntrack エントリーの数。

delete_list 削除予定 (dying) リストに入れられた conntrack エントリーの数。

insert リストに入れられたエントリーの数。

insert_failed リストに入れようとして失敗したエントリーの数 (同じエントリーが既に存在する場合に起こる)。

drop conntrack の失敗により、ドロップされたパケット数。 新しい conntrack エントリーの確保に失敗したか、プロトコルヘルパーがパケットを ドロップした。

early_drop 最大テーブルサイズに達していて、新しい conntrack エントリーのための 場所を確保するためにドロップされた conntrack エントリーの数。

icmp_error エラー状況のために追跡できなかったパケット数。 これは invalid の一部である。

expect_new conntrack エントリーが予測された後で、何個追加されたか。

expect_create 追加された予測エントリーの数。

expect_delete 削除された予測エントリーの数。

search_restart ハッシュテーブルのリサイズで、リスタートしなければならなかった conntrack テーブル検索の回数。

/proc/net/stat/rt_cache
ルーティングキャッシュの統計。

entries ルーティングキャッシュ内のエントリー数。

in_hit 流入パケットに対するルートキャッシュのヒット数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

in_slow_tot 入力トラフィックに対して追加されたルーティングキャッシュ エントリーの数。

in_slow_mc 入力トラフィックに対して追加されたマルチキャストルーティング キャッシュエントリーの数。

in_no_route ルーティングテーブルエントリーが見つからなかった入力パケット数。

in_brd マッチした入力ブロードキャストパケットの数。

in_martian_dst 流入した異質な (martian) 宛先パケットの数。

in_martian_src 流入した異質な (martian) 送信元パケットの数。

out_hit 送出パケットに対するルートキャッシュのヒット数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

out_slow_tot 出力トラフィックに対して追加されたルーティングキャッシュ エントリー数。

out_slow_mc 出力トラフィックに対して追加されたマルチキャストルーティング キャッシュエントリーの数。

gc_total ガベージコレクション実行の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

gc_ignored 最小ガベージコレクション間隔に達しておらず、 ルーティングキャッシュがいっぱいでなかったため、 無視されたガベージコレクション実行の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

gc_goal_miss ガベージコレクションのゴールに達しなかった回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

gc_dst_overflow 宛先キャッシュのオーバーフローの回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

in_hlist_search 入力トラフィックに対するハッシュテーブルリストの巡回の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

out_hlist_search 出力トラフィックに対するハッシュテーブルリストの巡回の回数。 IP ルートキャッシュが削除されて廃止されたため、常に 0 になる。

 

関連項目

ip(8)
 

著者

lnstat は Harald Welte <laforge@gnumonks.org> によって書かれた。

このマニュアルは Michael Prokop <mika@grml.org> によって、 Debian プロジェクトのために書かれた (しかし、他のディストリビューションでも使えるだろう)。


 

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Time: 11:49:57 GMT, July 19, 2019